ヒト線維芽細胞を用いたダイオキシン類の毒性評価
愛媛大学理学部生物学コース
私はヒト線維芽細胞を用いてダイオキシン類の毒性評価を行いました。
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ダイオキシン類の感受性には細胞差や生物種差があり、モデル生物から得たデータをヒトや野生生物に外挿することができません。このことが障害となり、ダイオキシン類の毒性評価は古くからのテーマではありますが、未だに不十分です。線維芽細胞は野生生物からでも入手可能であり、ヒトの線維芽細胞を用いた毒性評価を行うことで、鯨類などの野生生物のダイオキシン類感受性をヒトと比較することが可能となります。奨学金のご支援を頂いたことで、集中して研究を行うことが出来ました。心より感謝しております。
製錬廃液及び坑廃水中の新規浄化法の開発
九州大学工学部地球環境工学科
私は卒業論文のテーマとして、休廃止鉱山における坑廃水中のヒ素処理技術に関する研究を行いました。
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世界中に存在する鉱山開発が終了した休廃止鉱山は様々な環境問題を引き起こしますが、その中の一つにAMD(Acid mine drainage)の発生があります。AMDは鉱山開発の終了後も半永久的に発生する酸性の坑廃水であり、岩石中の様々な有害物質を溶かしだす性質を持っています。本研究では、その中でも特に人体にとって有害なヒ素に関して鉄殿物を利用した除去技術の開発を目的としました。研究の結果、鉄殿物はヒ素に対して高い吸着能を持ち、坑廃水中からヒ素の除去をすることに成功しました。
このような実験を進めていく中で多くの課題が生じ、時には結果を出すのにかなりの時間を有した時もありましたが、そのような時でもT.O環境財団様からの奨学金のおかげで研究に集中することができました。この場を借りて感謝申し上げます。
来年度からは同大学院に進学し、より一層研究活動に取り組んでいきたいと思います。
阿蘇地域におけるスギの大径木を利用した木製ガードレールの実現可能性について
九州大学工学部地球環境工学科
私は、環境省が提唱する地域循環共生圏の考え方に基づき、土木分野においてスギの大径木を利用した木製ガードレールの実現可能性について、阿蘇地域を対象に研究を行いました。
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本研究では、阿蘇地域に木製ガードレールを実現するだけの十分な資源が存在し、スギの地域循環が成り立つことで現在一般的に使用されている鉄製ガードレールとの価格競争力を有するだけでなく、景観の向上にもつながるという評価を得ることができました。
また、研究の対象である阿蘇地域で何度も赴きヒアリング調査等行いましたが、T.O.環境財団様からの奨学金のおかげで金銭面での心配をすることなく研究に集中することができましたことに深く感謝いたします。卒業後は同大学院に進学し研究活動に励みたいと考えております。
別府湾および大阪湾の底質柱状試料を用いたPFAS汚染の時系列評価
愛媛大学農学部生物環境科
私は、研究室に所属する間に環境分析について学びました。
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卒業研究では、堆積年代が解析された大阪湾・別府湾の底質柱状試料を対象に33種のPFASs(ペルフルオロ/ポリフルオロアルキル化合物)を測定し、それらの鉛直分布を解析することで、PFASsによる汚染の時系列変化を評価しました。対象であるPFASs一部は、POPs条約により使用の禁止・制限がなされ、環境汚染物質として注目されています。底質試料は凍結乾燥後、メタノールを用いて抽出、OASIS Wax固相抽出カートリッジによる精製・濃縮後、PFASs 33化合物をLC-MS/MSで定性・定量をしました。結果、別府湾および大阪湾の底質柱状試料から、それぞれ異なる17種のPFASsが検出されました。両地域とも、PFASsの中でもPFOAを含むパーフルオロカルボン酸(PFCAs)が卓越的に検出され、その他PFOSが高頻度で検出されました。総PFAS濃度および堆積フラックスの鉛直分布を解析した結果、別府湾では2002年の堆積層でピークを示し、その後減少傾向にありました。一方、大阪湾のPFAS濃度やフラックスは、別府湾よりも1.5倍ほど高く、時系列トレンドも近年ほど上昇する傾向がみられました。したがって、大阪湾のような都市・工業地域周辺では、今後もPFASsの環境負荷は継続・増加する可能性が示唆されました。また、別府湾・大阪湾ともに近年ほどPFASsに占めるPFOS・PFOAの割合が減少しており、PFOS・PFOAの規制後に他のPFASsへの代替が進んでいることが推察されまいした。また、大阪湾では痕跡レベルではありますがFTSsやFOSAAなどの新規代替物が検出されました。
結びにはなりますが、本研究をここまで行うことが出来たのは、奨学金のご支援があってのことです。経済面での不安がなくなり自分に余裕と時間が生まれたので、研究と勉強に向けられる時間が増え、集中して取り組むことが出来ました。今後は、大学院に進学しPFASsに関する研究を継続するつもりです。奨学金が無ければ、研究の進捗も大きく変わっていたと思います。本当にありがとうございました。
環状官能基による海水有用元素吸着の研究
九州大学工学部エネルギー科学科
私は大学にて、海水や排水からレアメタルを捕集する技術の確立に向けて研究を行いました。
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この研究では、目標をリチウムの吸着と定め、捕集材として高分子ゲルを使用しました。
高分子ゲルは、三次元的に官能基を配置できるため、高い吸着効率が期待できます。また、繰り返し急脱着を行うことで再使用することができるため、環境面においても優れた捕集技術であると考えています。研究の結果、作製した高分子ゲルへのリチウム吸着が確認されました。
ゲルの作成や吸着の時間観察を行う中で、うまくいかないことも多々あり、実際に吸着が確認できるまでかなりの時間がかかりましたが、奨学金によるご支援があったため、金銭面を心配することなく研究に集中することができ、深く感謝しております。卒業後は同大学院に進学し、引き続き研究に励みたいと考えております。